お灸治療について

お灸とは

お灸は、ヨモギの葉からつくられる「もぐさ」を燃やし、その温熱刺激を体のツボに与える治療法です。
日本では古くから「養生法」として親しまれ、今も病気の治療や体調管理、未病(病気になる前の不調)対策として幅広く行われています。

現代医学から見たお灸の効果

  • 血流改善:血管を拡張し、冷えやこりを和らげます。
  • 自律神経の調整:交感神経の興奮を抑制し、副交感神経とのバランスと整え、ストレスや不眠を改善。
  • 免疫機能の活性化:白血球の働きを促進し、風邪予防や自然治癒力の向上に役立ちます。
  • 鎮痛効果:エンドルフィン分泌により慢性的な痛みを軽減します。

東洋医学から見たお灸の効果

  • 冷えを取り除く:体を内側から温め、巡りを良くします。
  • 気血の巡りを整える:倦怠感や肩こりの改善につながります。
  • 五臓六腑の調和:内臓の働きを整え、胃腸・婦人科系症状に有効です。
  • 未病を治す:病気になる前の不調を改善する「予防医学」としても活用されます。

当院のお灸治療の特徴

  • 熱すぎない、心地よいお灸
  • 体質に合わせたオーダーメイドのツボ選び
  • ご自宅でできるセルフケア指導

よくある質問(Q&A)

Q1. お灸は熱くてやけどしませんか?
A. 当院では、灸点紙を使い肌を保護してから施術します。もぐさも米粒大で調整するため「熱すぎない心地よさ」を感じる程度で、やけどの心配はほとんどありません。

Q2. お灸には煙や匂いはありますか?
A. 伝統的なお灸はヨモギの煙と独特の香りがあります。当院では換気を徹底していますので、苦手な方でも安心して受けていただけます。ご希望があれば煙の少ないタイプのお灸もご用意しています。

Q3. どのくらいのペースで通えば効果が出ますか?
A. 急性症状は数回の施術で改善することもありますが、冷え性や自律神経の乱れなど慢性的な不調は週1回程度を数か月続けると効果が安定しやすいです。患者さまの状態に合わせて最適な通院プランをご提案します。

Q4. 妊娠中でもお灸を受けられますか?
A. 妊娠中でも安全に使えるツボを選んで施術可能です。つわりや冷え、むくみに有効なお灸もあります。妊娠週数や体調に応じて施術内容を調整しますので、安心してご相談ください。

Q5. 自宅でもお灸はできますか?
A. はい。市販の安全なお灸を使って、ご自宅でセルフケアが可能です。当院では患者さまに合ったツボを指導し、ご家庭でも安心して続けられるようサポートしています。

このような方におすすめです

  • 冷え性や手足の冷たさで困っている方
  • 慢性的な肩こり・腰痛・神経痛がある方
  • ストレスや不眠、喉のつかえで悩んでいる方
  • 不妊症や生理痛、更年期症状など婦人科系の不調がある方
  • 習慣性の下痢や便秘でお悩みの方
  • 薬に頼らず自然な方法で体調を整えたい方
  • 流行性の感染症の後遺症でお悩みの方
  • 感染症の予防接種の副反応でお困りの方

最後に

お灸は、現代医学的にも東洋医学的にも効果が証明されている、安心でやさしい治療法です。
にしむら鍼灸治療院では、「温める力でからだを整える」をテーマに、一人ひとりに寄り添った施術を行っております。

お気軽にご相談ください。

参考までに海外でお灸治療の現在―イギリスのMoxafricaによるアフリカでの感染症予防・補助治療としてのお灸(モクサ)の実践

近年、イギリスに拠点を置くチャリティ団体 Moxafrica による「モクサ」を用いた感染症の予防・補助治療の実践が、アフリカのウガンダ等で注目を集めています。

Moxafrica は、日本の古い医師による結核治療の歴史を参考に、結核(TB)患者やその近接感染者に対して、標準の抗結核薬治療とモクサ施術を併用するプロトコルを地域保健ワーカーとともに導入しています。ウガンダのパイロットスタディでは、日々モクサを使った患者から、「食欲・体重の改善」「薬の副作用の軽減」「エネルギーや体力の回復」といった報告があり、HIV併発例でもポジティブな改善が見られました。さらに、潜伏性 TB の予防を目的とした研究では、薬物療法(イソニアジド)と比較して、モクサを用いたグループでも同様の結核発症率を示すなど、「薬物療法の全てを代替するわけではないが、補助的手段として有望」であることが示されています。

もちろん、現時点ではまだ十分な数の大規模研究が確立されているわけではなく、モクサ施術のやけどなどのリスク・衛生管理・継続性・患者フォローアップなど、多くの課題もあります。しかし、このような取り組みは、「医薬品に頼らざるをえない状況」や「薬が効きにくい/入手が困難な地域」でのお灸・補助療法の可能性を示してくれるものであり、お灸治療の意義を考える上で非常に示唆に富んでいます。

にしむら鍼灸治療院でも、このような先進的実践例を参考にしながら、伝統と現代医学双方の観点から、安全性・科学性を大切にしつつ、お灸の可能性を広げていきたいと考えています。

アフリカにおけるモクサ(Moxibustion)を用いた感染症予防・補助治療の事例と科学的根拠

主なプロジェクト:Moxafrica による研究

  • 団体と背景
    イギリスをベースとする非営利団体 Moxafrica は、結核(TB)とそのHIV併発例を対象に、伝統的治療法であるモクサ(もぐさを用いた灸)を標準薬物療法(DOTS=直接監視下短期療法など)に補助して導入する研究をアフリカ(主にウガンダ)で行っています。 moxafrica+2moxafrica+2
  • ランダム化比較試験(RCT)の結果
    Makerere University(ウガンダ)における RCT で、新たに診断された薬物感受性結核患者を対象に、標準の結核治療に加えて毎日自己管理型モクサを併用した群と標準治療のみの群を比較しています。 Colab+1
    その主な結果は以下の通りです:
    1. モクサ併用群は、標準治療のみの群と比べて早期に喀痰陰性化が認められた(感染性が早く低下する可能性)。 Colab+1
    2. ヘモグロビン値の改善が統計的に有意であった。 Colab+1
    3. HIV併発群でも同様の傾向を示しており、治療薬の服薬遵守率(adherence)がモクサ併用群で有意に高かった。 Colab+1
    4. 有害事象(副作用)の重大なものは報告されておらず、安全性の面でも大きな懸念は見られなかった。 Colab+1
  • 他地域・他条件での応用
    北朝鮮(DPRK)でも、Moxafrica と現地保健機関が協力し、薬剤耐性 TB(MDR-TB)の患者を含めた研究や、結核患者の近接者に対する予防的モクサ施術を試みており、症状の軽減や回復速度の改善が観察されています。 moxafrica+2moxafrica+2

生物学的・免疫学的メカニズムの仮説

医療研究の段階で完全に解明されてはいませんが、以下のような仮説・実験的データがあります:

  • マクロファージのオートファジー活性化
    動物実験(マウスモデル)で、モクサ刺激がマクロファージにおけるオートファジーを誘導し、細菌の貪食クリアランス(除去)が促進され、致死率の低減が見られたという報告。これは感染防御の一つの機序として注目されています。 NCBI
  • 免疫指標の改善
    ヘモグロビン値の増加、CD4細胞数の改善傾向などが報告されており、HIV併発例でも薬物療法の補助としてモクサが免疫系を後押しする可能性が認められています。 Colab+1

限界と課題

  • 薬物耐性結核(MDR-TB, XDR-TB)に関するデータの不足
    RCTおよび予備的研究では、主に薬物感受性 TB 患者を対象としており、薬物耐性 TB の症例については少数例または予備段階のデータにとどまっています。 moxafrica+2moxafrica+2
  • 規模・長期フォローアップ・脱落率
    被験者数・治療期間・追跡期間が限られており、脱落者の理由(動機の喪失、資源制約、生活環境など)の影響を排除しきれていない部分があります。 moxafrica+2moxafrica+2
  • 機構(mechanism)の不確定性
    モクサがどのようにして免疫応答を調整するか、熱エフェクト以外の化学的刺激・神経内分泌の関与など、複数の可能性があるものの、明確に証明されているわけではありません。 moxafrica+2moxafrica+2
  • 実施環境の影響
    衛生管理、施術者教育、もぐさの品質、患者の栄養状態・共病(HIV・マラリアなど)などが結果に大きく作用するため、これら因子をコントロールするデザインが必要です。
地域内容主な成果・報告
ウガンダ (Kampala, Kiswa Health Centre 等)– 結核(TB)患者に、抗結核薬療法(ファーストラインの薬)と並行して、毎日モクサ施術を補助的に導入。健康指標(体重・食欲など)、副作用の軽減、エネルギー・体力の回復などを観察。 (moxafrica) – モクサを使う患者とその看護者(バディ)や保健ワーカーへの教育も実施。 (moxafrica)– モクサ使用者からは、体重が増える・食欲が改善する・関節痛や末梢神経障害(薬の副作用と思われるもの)の緩和を報告。 (moxafrica) – HIVと併発している患者でも同様に改善の傾向。 (moxafrica)
潜伏性 TB(Latent TB)の予防近接感染者(TB患者と接触がある人)を対象に、モクサを予防的に日常施灸(ST36というツボを用いた小さなモクサ)を3ヶ月間行う群と、標準的な薬物予防療法(イソニアジド)を6ヶ月行う群とを比較した研究。 (moxafrica)結果として、新たな活動性結核発症率において、モクサ群と薬物群で大きな差異は見られなかった(ほぼ同じ水準の発症率)という報告。つまり、モクサが薬物予防療法と比べて「悪くない/同等の予防効果を持つ可能性」が示唆された。 (moxafrica) またモクサ群では白血球・リンパ球の増加傾向が観察され、体の免疫応答に作用する可能性あり、という仮説がたてられている。 (moxafrica)

原志免太郎医師によるモクサ研究の概要

原志免太郎医師(Hara Shimetarō, 1882-1991)は、日本におけるモクサ(お灸)の医学的研究の先駆者の一人であり、特に20世紀前半に以下のような研究を行いました:

  • 血液学的指標の変化:白血球数・赤血球数・ヘモグロビン値・血小板数などの増加を観察。これにより、モクサが血液形成および全身の酸素運搬能力に与える影響を調べた。
  • 貪食作用(ファゴサイトーシス)の増強:白血球が微生物などを取り込む能力が、モクサ施灸後に向上するという実験的証拠。
  • 電子灸を含む灸法の比較実験:通常のモクサと電子を用いた灸の施用で異なる抗原応答(T細胞依存性/非依存性抗原)を測定し、モクサが免疫応答を非特異的に調整する作用を持つ可能性を示すデータ。
  • “非特異的熱凝集自己組織タンパク質療法”(non-specific heat aggregated autologous tissue protein therapy)という理論を提示し、熱刺激による自己組織の微細な変化が免疫系を賦活する仮説を立てた。

これらの研究は、当時、結核を含む感染症の治療・予防の補助としてモクサを用いる根拠として用いられ、後の団体(例えば Moxafrica)がその歴史を研究の出発点として参照しています。

項目内容
血液学的効果白血球数、赤血球数、ヘモグロビン値、血小板数などの増加を報告。 (cunhaharikyu-in.blogspot.com)
貪食活性(ファゴサイトーシス)白血球の食菌作用が強まるという報告。 (アメーバブログ(アメブロ))
結核予防・治療実験実験的に結核に感染させた動物モデルを用いて、灸が予防あるいは治療に有効であるとの報告が伝えられる。詳細数値は限られている。 (アメーバブログ(アメブロ))
免疫応答の刺激理論“non-specific heat aggregated autologous tissue protein therapy”(非特異的熱凝集自己組織タンパク質療法)の理論を唱えており、灸による熱刺激が体内のタンパク質あるいは自己組織をわずかに変性させ、それが免疫系を刺激する可能性を提唱している。 (J-STAGE)
電子灸/電気灸との比較実験“Effects of Electronic Moxibustion on Immune Response I, II”という研究で、電子灸を用いた免疫応答の実験を行っている。例えば、ウィスターラットを対象として、T細胞依存性抗原(DNP-KLH)および非依存性抗原(DNP-Ficoll)を用いて、抗原応答が増強されるかどうかを測定。 (CiNii)

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