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ブログ|「慢性前立腺炎」と「過敏性腸症候群(IBS)」──似て非なる“下腹部の不調”の正体

■ はじめに

「下腹部が重い」「会陰部(股の間)に違和感がある」「排尿してもスッキリしない」
──このような不快感に悩んで泌尿器科を受診しても、「異常なし」「気のせいかもしれません」と言われた経験はありませんか?

一方で、「便が出にくい」「ガスが溜まる」「下腹部が張って痛い」といった腸の不調を感じて消化器内科へ行っても、やはり検査で異常が見つからない…。

実はこのような方の中には、慢性前立腺炎と**過敏性腸症候群(IBS)**が関係しているケースが多く見られます。
両者はまったく別の病名ですが、症状が非常によく似ており、同じ骨盤内の神経や筋肉の緊張が関係しています。

この記事では、2つの疾患の共通点と違いを整理しながら、「なぜ治りにくいのか」「鍼灸でどうアプローチできるのか」を解説します。

■ 慢性前立腺炎とは?

慢性前立腺炎(Chronic Prostatitis)は、前立腺やその周辺に炎症や過敏反応が続き、
「排尿時の痛み」「会陰部の重だるさ」「睾丸の違和感」などが慢性的に続く状態です。

細菌感染を伴うもの(細菌性)と、感染を伴わないもの(非細菌性)に分けられますが、
実際には**検査で菌が検出されない非細菌性慢性前立腺炎(CPPS)**がほとんどです。

特徴的なのは、

  • 長時間座ると悪化する
  • ストレスや疲労で痛みが強まる
  • 排尿・射精・排便に関連して不快感が出る

といった、生活動作や自律神経の影響を強く受ける点です。

■ 過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome)は、腸に炎症や潰瘍などの異常がないにもかかわらず、
「便秘や下痢を繰り返す」「ガスが溜まって苦しい」「お腹が張る」といった症状が続く病気です。

脳と腸は「腸脳相関」と呼ばれる強い関係を持っており、ストレスや緊張などの心理的要因によって腸の運動が乱れることが知られています。
IBSもまた、自律神経のバランスの乱れが大きく関係している疾患なのです。

■ 症状が似ている理由

慢性前立腺炎とIBSには、次のような共通点があります。

共通の症状解説
下腹部の鈍痛・張り感骨盤内の血流や神経が共通して関与
排便・排尿で変化する骨盤内の筋肉や神経の過敏が関係
検査で異常が見つからない機能性疾患(働きの異常)である
ストレスや気候で悪化自律神経の不安定さが影響

骨盤の中には、前立腺・膀胱・直腸などが非常に近い距離で存在しており、
それらを支配する神経も「骨盤神経叢」という共通の神経ネットワークにつながっています。

そのため、どちらか一方に異常が起こると、もう一方の臓器にも波及しやすい構造なのです。

■ 決定的な違い

慢性前立腺炎過敏性腸症候群(IBS)
主な原因前立腺や骨盤内筋群のうっ血・神経過敏腸の運動異常・腸内環境の乱れ
主な症状排尿時痛、会陰部・睾丸・下腹部の不快感下痢・便秘・お腹の張り・ガス
性別ほぼ男性男女ともに発症(女性に多い)
検査PSA・尿検査・超音波など大腸内視鏡・便検査など
治療法抗生剤・鎮痛薬・ストレッチ・鍼灸など整腸剤・食事療法・心理療法など

両者の違いを一言で言えば、
「尿路系の不調」か「消化管の不調」かという点です。

ただし実際の臨床では、「腸の張りが強いと前立腺周囲も痛む」「便秘で会陰部が重くなる」など、
明確に分けにくいケースが多いのが現実です。

■ “併発”しているケースも少なくない

最新の研究では、慢性前立腺炎とIBSを同時に抱える人が一定数存在することが報告されています。
これは、どちらの疾患も「自律神経の過敏」「骨盤内の緊張」といった共通の要素を持つためです。

  • ストレスにより交感神経が優位になる
  • 骨盤底筋群が常に緊張し、血流が滞る
  • 神経が過敏化し、痛みの信号が増幅する

このような悪循環が続くことで、前立腺炎にもIBSにも似た症状が現れます。
特に、長時間のデスクワークや冷え、睡眠不足は、骨盤内の循環を悪化させるため注意が必要です。

■ 鍼灸でのアプローチ

鍼灸では、痛みや不快感を「気血の滞り」「神経の過敏」として捉え、
体のバランスを整えることで自然治癒力を引き出します。

慢性前立腺炎やIBSに対しては、以下のような施術を行うことが多いです。

◎ 主な施術ポイント

  • 下腹部(関元・気海):骨盤内臓器の血流改善
  • 仙骨周囲(次髎・中髎):骨盤神経叢へのアプローチ
  • 腰部(腎兪・志室):自律神経と腎機能のバランス調整
  • 足や手の経穴:全身の循環を整える

これにより、

  • 骨盤底筋の緊張がやわらぐ
  • 血流が改善して温かさを感じる
  • 下腹部の重だるさや張り感が軽減する
    などの変化が現れやすくなります。

鍼灸の特徴は、薬のように「症状を抑える」のではなく、
体そのものが回復できる環境をつくる点にあります。

■ 鍼灸治療を続ける中で大切なこと

  1. 冷え対策を徹底する
     骨盤の血流は冷えに敏感です。下半身を温める習慣を心がけましょう。
  2. 座りすぎに注意する
     長時間座ると骨盤内が圧迫され、うっ血を起こします。
     1時間に1回は立ち上がってストレッチを。
  3. ストレスをためこまない
     過緊張や不安感は、神経の過敏を助長します。
     深呼吸や軽い運動でリラックスする時間を持つことが大切です。
  4. 睡眠リズムを整える
     自律神経のバランスは夜間の休息でリセットされます。
     夜更かし・スマホ使用を控え、睡眠の質を高めましょう。

■ まとめ

  • 慢性前立腺炎とIBSは、症状が似ているが原因は異なる
  • どちらも自律神経の乱れや骨盤内の血流不良が深く関与
  • 時に併発することもあり、神経の過敏を整えることが重要
  • 鍼灸は、神経・筋肉・血流に総合的にアプローチできる自然療法

下腹部の違和感が長引いているとき、
「検査では異常なし」と言われても、体は確かにSOSを出しています。

にしむら鍼灸治療院では、こうした**“原因の見えにくい痛みや不快感”**に対して、
骨盤内の血流と神経バランスを整える施術を行っています。

同じような症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
体の声を丁寧に聞きながら、回復のきっかけを一緒に見つけていきましょう。

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