「前立腺炎と言われて薬を飲んでいるけど、なかなか良くならない」
「検査では異常なしと言われたのに、違和感がずっと続いている」
そんな悩みを抱える方が、当院にも多く来られます。
慢性前立腺炎は、痛みや不快感が長く続くのに、はっきりした原因が見つからないことが多い病気です。
だからこそ、「なぜ治らないのか」「どうすれば良くなるのか」がわからず、不安になりますよね。
ここでは、現代医学(病院)での治療と、鍼灸でのアプローチの違いを、わかりやすく解説します。
■ 病院での治療:まずは「菌がいるかどうか」を調べる
泌尿器科での治療は、基本的に「細菌性」か「非細菌性」かを見極めるところから始まります。
● 抗菌薬(抗生物質)
もし細菌感染がある場合は、抗菌薬を数週間飲みます。
ただし、多くの慢性前立腺炎は「非細菌性」と言われ、薬では変化が出ないことも少なくありません。
● α遮断薬や鎮痛薬
排尿しにくさや痛みを和らげる薬が処方されることもあります。
一時的に楽になる方もいますが、再発したり、薬をやめると戻ってしまうケースも多いです。
● 理学療法やストレスケア
最近では、前立腺そのものよりも「骨盤底筋の緊張」や「ストレスによる神経の乱れ」が原因の場合も多いことが分かってきています。
ただ、それを根本的に整える方法は、病院治療だけでは限界があります。
■ 鍼灸治療の考え方:体を「全体」で見る
鍼灸では、前立腺という“場所”ではなく、
なぜそこに負担がかかっているのかを全身の流れから探っていきます。
● 骨盤まわりの筋肉をゆるめる
慢性前立腺炎の方は、長時間の座り仕事やストレスなどで、
骨盤の筋肉(特に骨盤底筋・内もも・お尻まわり)がこわばっていることが多いです。
鍼を使って緊張をゆるめることで、血流が改善し、痛みが軽くなっていきます。
● 自律神経のバランスを整える
慢性前立腺炎では、交感神経(緊張・ストレスの神経)が働きすぎている方が多いです。
鍼灸では、背中やお腹にやさしく鍼をして、神経の働きを整え、排尿のリズムや睡眠の質も改善していきます。
● 内臓と筋肉のつながりを利用
内臓の疲れや炎症は、腰やお尻の筋肉のこわばりとして現れます。
鍼灸はこの「つながり」を利用して、体の深い部分から回復力を高める治療です。
■ 鍼灸を続けるとどう変わるのか?
最初の数回で、「少し痛みがやわらいだ」「座っても楽になった」と感じる方が多いです。
続けていくと、体のこわばりが取れ、血流や神経の働きが整ってきます。
すると、
- 朝の違和感が減る
- 排尿後のチクチク感が軽くなる
- 座っている時間が長くても痛みが出にくくなる
といった変化が出てきます。
痛みが取れるだけでなく、再発しにくい体づくりができるのが、鍼灸の強みです。
■ 病院と鍼灸の違いをまとめると…
| 見るポイント | 病院(現代医学) | 鍼灸 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 炎症・感染を抑える | 血流・神経・筋肉のバランスを整える |
| 治療方法 | 薬・理学療法 | 鍼・お灸・生活アドバイス |
| 効果の出方 | 即効性があるが再発しやすい | ゆっくり改善し、持続しやすい |
| アプローチ | 局所(前立腺・尿道)中心 | 全身(骨盤・自律神経・筋肉)中心 |
■ 最後に──治らないと感じたら、体の「声」を聞いてみてください
慢性前立腺炎は、決して「前立腺だけの病気」ではありません。
仕事やストレス、姿勢、冷え、生活リズム…
いくつもの小さな負担が重なって、痛みや違和感として現れています。
鍼灸は、その“体の声”を丁寧に読み取り、整える治療です。
にしむら鍼灸治療院では、泌尿器の働きに精通した鍼灸師が、
あなたの体を全体から見直し、回復への道筋を一緒に作っていきます。
「病院で治らなかったから終わり」ではなく、
まだできることがある──そう感じていただけたら幸いです。











