― なぜ座ることが、痛みや不快感の“根っこ”になるのか? ―
こんにちは、にしむら鍼灸治療院です。
今回は、現代の働き方に欠かせない**「デスクワーク」と、
なかなか治りにくいとされる「慢性前立腺炎」**の深い関係について、
当院の臨床経験も交えて、詳しくお伝えします。
◆ 慢性前立腺炎の特徴とは?
慢性前立腺炎には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 細菌性(比較的まれ。抗生剤が有効)
- 非細菌性・慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)
→ 実際は 90%以上がこちら に該当すると言われています。
この“非細菌性”タイプは、レントゲンや尿検査でも異常が出ないため、
「原因不明」「気のせい」「ストレス」とされてしまいがちです。
しかし多くの患者さんの生活習慣や体の状態を見ていくと、
共通している大きな要素があります。
それが **“長時間のデスクワーク”**です。
◆ デスクワークが引き起こす体の変化
【1】会陰部と骨盤底筋への慢性的な圧迫
座ることで直接体重がかかる部分――
それが、前立腺のすぐ下に位置する**会陰部(えいんぶ)**です。
ここには以下のような構造があります:
- 骨盤底筋群(排尿や射精をコントロール)
- 静脈叢(血液を戻す細かい血管網)
- 陰部神経(会陰部・外陰部・直腸・尿道の知覚や運動を支配)
座る姿勢が長時間続く=これらの組織を物理的に圧迫し続けることになります。
この状態が慢性的に続くと、
- 血流のうっ滞(静脈が圧迫され、炎症物質が滞留)
- 神経の興奮(過敏化)
- 筋肉の緊張・けいれん(反射性の筋スパズム)
といった現象が起こり、やがて**「痛み」「違和感」「頻尿」**などの症状として現れてきます。
【2】“動かない”ことで起きる血流と神経伝達の低下
人間の体は、本来動くことで血液やリンパが巡る仕組みになっています。
ところがデスクワーク中心の生活では、
- 下半身の筋肉をほとんど使わない
- 骨盤が固定されたまま動かない
- 交感神経が過剰に働きやすい(PC作業・緊張状態)
という環境が続くため、
骨盤内(=前立腺のある場所)の血流と神経伝達が大きく低下します。
これはまるで、“ずっと水が流れない溝”のようなもの。
汚れ(=炎症物質・代謝老廃物)が溜まり、排出できなくなるのです。
◆ 「筋膜のつながり」から見る前立腺とお尻の関係
近年注目されているのが、筋膜(筋肉を包む膜)の連鎖反応です。
- 前立腺まわりの筋膜は、**内転筋・骨盤底筋・臀筋群(中臀筋・梨状筋)**と連動しています。
- つまり、お尻の筋肉がガチガチに硬くなっていると、前立腺にも間接的に引きつれや緊張が起こるのです。
これは「痛む場所」と「原因の場所」が異なる関連痛・放散痛と呼ばれるもので、
にしむら鍼灸治療院では、まさにこの**“つながり”に着目した施術**を行っています。
◆ 鍼灸によるアプローチ:症状の“根”をゆるめる
当院での慢性前立腺炎に対する施術は、以下のような組み合わせです:
🔸 仙骨・中臀筋・梨状筋への深部刺鍼
→ 会陰部へ続く神経や血管の通り道を開く
🔸 電気鍼で骨盤底筋・陰部神経を間接刺激
→ 神経の興奮を抑え、自律神経のバランスを整える
🔸 ストレッチ・手技による筋膜のゆるめ
→ 前立腺周囲の緊張を全体から緩和
これにより、「ただの前立腺の病気」ではなく、
身体全体の使い方・バランスを整える根本改善をめざします。
◆ 実際の患者様の声
40代・男性(事務職)
座ってるだけで股のあたりがジンジンして、立ち上がってもしばらく違和感が残るのが悩みでした。
鍼灸でお尻の奥をゆるめてもらうと、痛みの質が変わり、徐々に気にならなくなりました。
今は1日座り仕事でも大丈夫な日が増えています。
◆ デスクワーカーがすぐできる予防&改善法
🕒 タイマーをセットして、1時間ごとに立ち上がる
🪑 ドーナツ型クッションで会陰部の圧迫を避ける
💪 座る前に中臀筋(お尻)ストレッチを1分
🧘 夜寝る前に骨盤まわりを温める(就寝前の入浴が効果的)
◆ まとめ:治らないのではなく、“気づいていない”だけ
慢性前立腺炎は、「治りにくい病気」ではありません。
ただ、本当の原因にアプローチされていないだけなのです。
長時間座りっぱなしの生活が、
前立腺や神経に“静かなストレス”を与え続けていることに、
あなた自身が気づけるかどうか――それが改善の分かれ道です。
お薬ではなかなか改善が見られなかった方。
「座ると悪化する」ような症状でお悩みの方は、
ぜひ一度、当院の鍼灸による神経・筋膜アプローチを体験してみてください。