「肩が上がらない」「夜にズキズキ痛む」「服を着るのもつらい」──
こうした症状で悩む方に多いのが「五十肩(肩関節周囲炎)」です。
大阪狭山市「にしむら鍼灸治療院」にも、40代後半から60代の男女を中心に多くの方が来院されています。
今回は、現代医学の視点から見た五十肩のメカニズムと、鍼灸による科学的な治療効果について解説します。
■ 五十肩とは?──正式名称は「肩関節周囲炎」
「五十肩」は正式には 肩関節周囲炎(Frozen Shoulder, Adhesive Capsulitis) と呼ばれます。
加齢や血流低下、長年の肩の使いすぎなどにより、肩関節の周囲組織(関節包・腱・滑液包)に炎症が起きることで発症します。
主な症状
- 肩の可動域が制限される(腕が上がらない、後ろに回らない)
- 夜間痛(寝返りで痛む)
- 髪を結う・背中に手を回す動作が困難
発症から治癒までには一般的に 1〜2年かかると言われています。
■ 五十肩の病期分類
五十肩は3つの時期に分けられます。
- 炎症期(急性期)
夜間の強い痛みや安静時痛が目立つ時期。
関節包や腱板周囲に炎症が起き、血流が悪化しています。 - 凍結期(拘縮期)
炎症は落ち着くものの、関節包が硬くなり、動かせなくなる時期。
「腕が上がらない」「髪が結えない」といった可動域制限が顕著になります。 - 解凍期(回復期)
痛みが軽くなり、少しずつ動かせるようになる時期。
リハビリや鍼灸治療を行うことで改善が早まります。
■ 現代医学での鍼灸の位置づけ
最近の研究では、鍼刺激が以下のような 生理学的メカニズムを通して効果を発揮することが明らかになっています。
① 血流改善と炎症抑制
鍼刺激により局所血流が改善し、筋肉や関節包の酸素供給が高まります。
また、鍼刺激によって放出される アデノシンや βエンドルフィンが炎症を抑え、痛みを軽減します。
② 筋緊張の緩和
肩関節を取り巻く筋肉(棘上筋・棘下筋・三角筋など)の過緊張を和らげ、動きをスムーズにします。
特に「肩甲上神経」「腋窩神経」に関連するツボを使うことで、筋肉の深部まで届く刺激が得られます。
③ 神経系のリセット作用
慢性的な痛みでは、脳や脊髄レベルで「痛みの記憶」が形成されます。
鍼刺激はこの過敏化した神経経路をリセットし、「痛みを感じにくい状態」へと導きます。
■ にしむら鍼灸治療院のアプローチ
当院では、東洋医学の経絡理論と現代医学の筋膜・神経生理学を融合した治療を行っています。
🔸急性期
- 炎症を悪化させないよう、浅めの刺鍼で鎮痛を中心に。
- 使用経穴:肩髃(けんぐう)、肩髎(けんりょう)、曲池、手三里など。
- 必要に応じて微弱電流(鍼通電療法)を併用します。
🔸拘縮期
- 動きの制限を改善するため、肩甲骨周囲筋・胸筋・上腕二頭筋などを重点的に。
- トリガーポイント鍼療法で筋膜の癒着を解除し、可動域を広げます。
🔸回復期
- 筋肉の柔軟性を保つためのストレッチ指導・運動鍼を組み合わせ。
- 再発防止を目的とした姿勢改善・肩甲骨運動のリハビリも併用します。
■ 鍼灸で改善した臨床例
60代女性・事務職。3ヶ月前から右肩の夜間痛。
整形外科では「五十肩」と診断され、鎮痛薬と湿布で経過観察中。
当院での治療:
- 肩甲骨周囲筋と上腕二頭筋のトリガーポイントに週1回の鍼治療
- 3回目で夜間痛が半減
- 6回目で可動域が大きく改善し、髪を結えるように
→ 約2ヶ月で日常生活に支障なしまで回復。
■ 自宅でできるセルフケア
- 温熱療法(ホットタオル・温湿布)
血流を促進して筋肉のこわばりを緩めます。 - 痛みのない範囲での肩の振り運動(コッドマン体操)
関節包の拘縮予防に効果的。 - 良い姿勢を意識する
猫背は肩関節の可動域を狭め、治りを遅らせます。
■ まとめ:鍼灸は「自然治癒力」を最大限に引き出す治療
五十肩は時間が経てば自然に治ることもありますが、
放置すると 関節が固まったまま 回復しにくくなるケースもあります。
鍼灸は、炎症・血流・神経・筋肉といった多角的な面から体を整え、
回復期間を短縮し、再発を防ぐ 有効な方法です。
大阪狭山市で五十肩や肩の痛みにお悩みの方は、
「にしむら鍼灸治療院」へぜひ一度ご相談ください。