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ブログ|“男性更年期”との境界線──ホルモン変動が前立腺を過敏にする

■「痛みの原因が見つからない」その裏にあるホルモンの変動

慢性前立腺炎(Chronic Prostatitis / Chronic Pelvic Pain Syndrome:CP/CPPS)は、抗菌薬でも改善せず、検査でも異常が見つからない。
そんな「原因不明の痛み」として多くの男性を悩ませています。

ところが最近、臨床の現場で注目されているのが、「男性ホルモン(テストステロン)」の変動が前立腺や骨盤神経に影響しているという新しい視点です。

実際、40〜50代で慢性前立腺炎を発症する患者の多くに、

  • 活力の低下
  • 睡眠の質の悪化
  • イライラや抑うつ傾向
  • 性機能の低下
    といった「男性更年期症状(LOH症候群)」が並行して見られます。

■ テストステロンの低下は「痛み感受性」を上げる

テストステロンには単なる“男性ホルモン”としての役割だけでなく、神経系・免疫系のバランスを整える働きもあります。
このホルモンが減少すると、次のような変化が起こります。

  1. 痛みの神経(脊髄後角・視床)の感受性が上がる
    → 以前なら感じなかった刺激が「痛み」として脳に伝わる。
  2. 交感神経が優位になり、骨盤底筋が過緊張する
    → 尿道や会陰部の張り感・灼熱感・排尿痛が出やすくなる。
  3. 炎症性サイトカイン(IL-6・TNF-α)が増える
    → 微小炎症が長期化し、前立腺や周囲神経の回復が遅れる。

つまり、テストステロンの低下は“痛みの土壌”を作ってしまうのです。

■ 男性更年期(LOH症候群)との共通点

慢性前立腺炎とLOH症候群には、驚くほど多くの共通点があります。

症状の種類慢性前立腺炎男性更年期(LOH)
骨盤・陰部の痛み△(筋肉のこわばり)
排尿違和感
性機能低下(勃起力・性欲)
疲労感・気力低下
睡眠の質低下
抑うつ・不安感

特に40代以降に発症した慢性前立腺炎では、**痛みと同時に「心身のスタミナ切れ」**を訴えるケースが多く見られます。
このような場合、単なる局所炎症ではなく、全身のホルモン・自律神経の乱れが背景にある可能性が高いのです。

■「炎症」と「ホルモン」の二重構造を理解する

慢性前立腺炎を「感染症」だけで説明しようとすると治療が行き詰まります。
実際には、次のような二重構造で進行しているケースが多いのです。

  • ①末梢的要因:前立腺や骨盤底筋の炎症・緊張
  • ②中枢的要因:テストステロン低下・交感神経の過活動・痛覚過敏

つまり「ホルモンが乱れることで神経のスイッチが入りっぱなしになり、局所の痛みを増幅させている」──これが最近の理解です。

■ 東洋医学的にみる「腎虚」との一致

東洋医学では、男性ホルモンの低下状態を「腎虚(じんきょ)」と呼びます。
腎虚になると、腰や下腹部のだるさ、精力減退、不安、不眠、冷えなどが現れます。

興味深いのは、腎虚の症状がまさに慢性前立腺炎とLOH症候群の症状と一致していること。
鍼灸ではこの「腎」の機能を整え、副交感神経を活性化させることで、

  • 前立腺周囲の血流改善
  • 骨盤底筋の緊張緩和
  • ストレスホルモンの抑制
    を図ります。

結果として、ホルモンバランスの安定と痛みの軽減が同時に起こるケースも多いのです。

■ 現代医療と統合する新しい治療モデル

最新の研究では、テストステロン補充療法(TRT)が慢性前立腺炎症状を改善する可能性も報告されています。
ただし、すべての患者に有効というわけではなく、ホルモン療法だけでは限界もあります。

そのため、

  • ホルモンバランスを整える生活改善(睡眠・運動・食事)
  • 自律神経をリセットする鍼灸やマインドフルネス
  • 適切なホルモン検査と泌尿器科でのフォロー
    この3本柱でアプローチすることが理想です。

■ 「年齢のせい」と片づけないでほしい

「もう歳だから」「仕方がない」と思っている男性ほど、体のSOSを見逃しています。
実際には、ホルモンと神経のバランスを整えるだけで痛みが和らぐケースも少なくありません。

慢性前立腺炎をきっかけに、自分の“内側の健康”を見直す。
それが本当の回復の第一歩です。

■ まとめ:前立腺炎は「ホルモンの鏡」かもしれない

  • テストステロンの低下は痛み・緊張・炎症を増幅させる
  • 慢性前立腺炎と男性更年期は症状が重なりやすい
  • 東洋医学の「腎虚」概念と一致している
  • 鍼灸・生活改善・ホルモン評価を組み合わせることで根本改善へ

慢性前立腺炎は、単なる前立腺の炎症ではなく、**“ホルモンと神経の乱れが作り出す全身性の疾患”**です。
心と体の両面からアプローチすることで、「痛み」と「自信」を取り戻すことができます。

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