陰部神経痛は「日常のクセ」から回復を妨げていることが多い
陰部神経痛は、会陰部(外陰部・肛門周囲・膣や陰茎の周辺)に
鋭い痛み・灼熱感・しびれが現れるつらい症状です。
第1弾でお伝えした通り、陰部神経は坐骨棘や仙結節靱帯の間を通るため、
座圧や筋緊張、血流の悪化によって絞扼されやすく、
「座ると痛い」「立つと少し楽になる」という特徴があります。
しかし──。
実際に多くの患者さんを診ていると、痛みを慢性化させているのは日常の生活リズムや体の使い方であることが少なくありません。
今回は、にしむら鍼灸治療院の臨床経験から導き出した、
“セルフケアをさらに効果的にする実践法”をご紹介します。
1. 朝と夜の過ごし方で「神経の過敏スイッチ」をリセットする
陰部神経痛は、痛みだけでなく「自律神経の乱れ」が深く関わっています。
交感神経が過剰に働くと筋肉や血管が収縮し、神経の圧迫が続きやすくなります。
そのため、朝と夜のリズムを整えることが治癒への第一歩です。
🌅 朝のポイント
- 起床後すぐにカーテンを開けて太陽光を浴びる(セロトニン分泌を促進)
- コップ1杯の常温水で内臓を目覚めさせる
- 骨盤を軽く回すストレッチ(腰から下の血流を促す)
🌙 夜のポイント
- 寝る1時間前はスマホやPCの光を避ける
- 仙骨部にホットパックを当てて深呼吸
- 「今日も体を守ってくれてありがとう」と優しく声をかける(リラックス効果)
小さな習慣ですが、これを続けることで痛みの感受性が下がり、
“痛みが痛みを呼ぶ悪循環”から抜け出しやすくなります。
2. 座り方を“治療”として見直す
陰部神経痛を悪化させる最大の要因は「座り方」です。
ですが正しい座位は、“痛みのリハビリ”にもなります。
✅ 理想的な座り方
- 骨盤を立てる(背骨がまっすぐになるよう意識)
- 坐骨で座面を感じ、前後に体をゆらして安定を探す
- 背もたれに頼りすぎず、軽く腹筋を意識
- ドーナツ型よりU字型クッションが会陰部への圧を軽減
❌ 避けたい座り方
- 骨盤を後傾させて背中が丸くなる
- 猫背や前かがみの姿勢
- 椅子の高さが合っておらず、足が浮く/沈みすぎている
さらに、30分に一度は立ち上がり、軽く腰を回す・深呼吸するだけで血流が変わります。
「正しく座る」は、治療と同じくらい大切な“自分へのメンテナンス”です。
3. 便秘を解消して「骨盤内圧」を下げる
意外に見落とされがちなのが便秘。
腸内にガスや便がたまると骨盤内圧が上がり、陰部神経を物理的に圧迫します。
💡腸を整えるためのポイント
- 朝起きて白湯を飲み、腸を刺激
- 食物繊維よりも「発酵食品+温野菜」を意識
- 排便時は軽く前かがみ姿勢に(直腸角が整いスムーズ)
- 便意を我慢しない
また、腸の動きが良くなると骨盤底筋の血流も改善します。
**「腸活=骨盤底ケア」**と考えましょう。
4. ストレスをためない体の使い方を身につける
ストレスがたまると体は防御反応として筋肉を固めます。
この“無意識の緊張”こそ、陰部神経を圧迫する大きな原因です。
🚶リラックスを促す体の使い方
- 歩くときは「かかと→足の外側→親指」で重心移動
- 歩幅をやや広めにして骨盤をしなやかに動かす
- 胸を軽く開き、深く呼吸を通す
🌬仙骨リリース呼吸(おすすめ)
- 仰向けで膝を立てる
- 息を吐きながら尾てい骨を床に沈める
- 吸いながら戻す
 → 5〜10回。仙骨まわりの緊張がやわらぎ、血流が改善します。
5. 食生活と水分補給で「神経の回復力」を高める
神経の修復や炎症の鎮静には、栄養と水分が欠かせません。
特に慢性化した痛みは、代謝の低下や血液循環の悪化が背景にあります。
🍽おすすめの食材
- ビタミンB群(豚肉・玄米・納豆):神経修復
- オメガ3脂肪酸(青魚・亜麻仁油):炎症を抑える
- マグネシウム(海藻類・ナッツ):筋緊張をやわらげる
🚫控えたいもの
- カフェイン・アルコール(血管収縮)
- 甘いお菓子・加工食品(炎症促進)
💧水分補給のコツ
- 1日1.5〜2Lを目安に、こまめに常温で
- 冷たい飲み物は避け、できるだけ白湯を
「何を食べるか」だけでなく、「どんな状態で食べるか」も大切。
落ち着いて噛むことで副交感神経が働き、痛みの感じ方も和らぎます。
6. セルフケア+鍼灸で「戻らない体」へ
セルフケアは、痛みを“ゼロにする”ためではなく、
「治る力が働く環境を整える」ことが目的です。
しかし、長年続いた痛みや再発を繰り返すケースでは、
深部の筋肉・神経・靭帯の緊張が残っている場合が多く、
セルフケアだけでは限界があることも。
にしむら鍼灸治療院では、陰部神経の走行とその周囲の筋・靭帯・内臓の関連をふまえ、
一人ひとりの体の状態に合わせた安全な鍼灸施術を行っています。
鍼灸を併用することで、神経の圧迫を根本から解放し、
「痛みが戻らない体づくり」をサポートします。
まとめ:陰部神経痛の改善は“日常の積み重ね”から
- 朝と夜のリズムで自律神経を整える
- 正しい座り方で神経の圧迫を防ぐ
- 腸内環境を整え、骨盤内の圧を下げる
- ストレスをためずに体をゆるめる
- 栄養と水分で神経の修復を助ける
この5つを意識することで、痛みは少しずつ穏やかになっていきます。
あなたの体は、確実に「回復する力」を持っています。
その力を引き出すための第一歩として、
今日からできることをひとつずつ始めてみましょう。
そして、セルフケアで限界を感じたときは、
どうか我慢せず、私たち専門家にご相談ください。
にしむら鍼灸治療院は、
あなたの「痛みのない日常」を一緒に取り戻すお手伝いをいたします。











