「お酒を飲むと痛みがぶり返す…」そんな経験はありませんか?
「久しぶりにお酒を飲んだら、翌日また会陰部がズーンと重い」
「飲み会のあと、排尿の違和感が強くなった」
慢性前立腺炎で悩む方から、こうした声をよく聞きます。
お酒は仕事や人付き合い、リラックスのひとときに欠かせないものですが、体調によっては症状を悪化させてしまうきっかけにもなります。
なぜ「たまの一杯」が痛みや違和感を強めてしまうのでしょうか?
その背景には、血流・神経・自律神経の3つの要素が関わっています。
🔹慢性前立腺炎は「骨盤内のうっ血」と「神経の過敏化」で起こる
慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の多くは、感染症ではありません。
前立腺そのものに炎症があるわけではなく、
骨盤内の血流の滞りや神経の過敏化によって痛みが続くタイプがほとんどです。
長時間のデスクワークやストレス、座り姿勢の崩れによって、
骨盤まわりの筋肉がこわばり、血液の流れが悪くなります。
その結果、前立腺や膀胱の周囲がうっ血し、神経が刺激され、
「会陰部の鈍痛」「下腹部の重だるさ」「排尿時の違和感」などが起こります。
そして、**アルコール(お酒)**はこの“骨盤のうっ血”を助長してしまう代表的な要因なのです。
🔹アルコールが前立腺に与える3つの悪影響
① 血流の滞りと骨盤内うっ血
アルコールを飲むと血管が拡張し、一時的に血流が良くなったように感じます。
しかし時間が経つと、血管が反動的に収縮し、骨盤まわりの血流が滞りやすくなる傾向があります。
さらに、アルコールには利尿作用があります。
トイレが近くなり、水分が失われると血液がドロドロに。
その結果、骨盤内のうっ血が悪化し、前立腺まわりの神経が刺激されやすくなります。
「お酒を飲んだ翌日に会陰部の重さが出る」
──これは、まさに骨盤内の血流トラブルのサインです。
② 膀胱・前立腺の刺激
アルコールそのものが、膀胱や前立腺の粘膜を刺激します。
特にビールやワイン、日本酒などには糖分や発酵成分が含まれ、
排尿時のツーンとした刺激感や残尿感を強めることがあります。
また、トイレが近くなることで、
前立腺や骨盤底筋が“緊張状態”になり、神経が過敏化。
結果的に、痛み・ムズムズ感・違和感の再燃につながります。
③ 睡眠・自律神経の乱れ
アルコールを飲むと寝つきは良く感じますが、実は眠りは浅くなっています。
夜中に何度も目が覚めたり、朝起きても疲れが取れなかったり…。
慢性前立腺炎の多くは、自律神経の乱れと深く関係しています。
交感神経が優位になりすぎると、筋肉が硬くなり、血流も悪化。
つまり、お酒による睡眠の質の低下は、翌日の痛みを引き起こすトリガーになり得ます。
🔹「飲んでも大丈夫な人」と「控えた方がいい人」の違い
すべての患者さんが“禁酒しなければならない”わけではありません。
実際、症状が落ち着いている方の中には、
少量(ビール1杯、ワイン1杯程度)なら問題ないケースもあります。
しかし、次のような反応が出る人は、体がまだ回復しきっていません。
- 飲酒後や翌日に痛み・違和感が強くなる
- 座ると前立腺まわりが重だるい
- 残尿感や排尿の違和感が出る
- 飲酒後の睡眠が浅く、疲れが抜けにくい
こうしたサインが出ているときは、
「体がまだ“休ませてほしい”と言っている状態」です。
無理に付き合いで飲むよりも、一度体を休めて様子を見ることが最優先です。
🔹どうしても避けられない飲み会では?
社会人として、どうしてもお酒の席を避けられない時もありますよね。
そんなときは、次のような“ダメージを減らす工夫”を意識してみましょう。
- 🥤 アルコール1杯につき、水1杯を飲む
→ 脱水を防ぎ、血液の流れを保つために重要です。 - 🚶 長時間座りっぱなしにしない
→ 1時間に一度は立ち上がり、軽く体を動かしましょう。 - 🧊 体を冷やさない
→ 特に冬場のビールや冷酒は要注意。下半身を冷やすと血流が悪化します。 - 🛁 寝る前にぬるめのお風呂に浸かる
→ 骨盤内の血流を戻し、自律神経の緊張をやわらげます。
また、「どの種類のお酒で痛みが出やすいか」をメモしておくのもおすすめです。
体に合わないお酒(ビール、日本酒、焼酎など)は人によって違います。
“自分の体の癖”を知ることが最大の予防になります。
🔹お酒は「敵」ではなく「体調のバロメーター」
慢性前立腺炎の方にとって、飲酒は完全な“悪者”ではありません。
むしろ、「飲んだ翌日の体の反応」を観察することで、
自分の回復度を知るヒントになります。
- 飲んでも痛みが出ない → 体調が安定しているサイン
- 飲んだ翌日につらい → 自律神経や血流がまだ乱れているサイン
こうして自分の体調の波を理解していくことが、
“再発しない体づくり”への第一歩になります。
🔹にしむら鍼灸治療院では
にしむら鍼灸治療院では、
飲酒や生活習慣によって悪化しやすいタイプの慢性前立腺炎に対し、
骨盤内の血流改善と自律神経の調整を中心とした鍼灸治療を行っています。
また、患者さん一人ひとりの「体の使い方」「座り方」「飲み方の癖」を確認し、
再発を防ぐセルフケア・姿勢指導もあわせて行っています。
「お酒を飲むと痛くなる」──その裏には、
体の中の“回復リズム”が崩れているサインがあります。
それを整えていくことで、痛みに振り回されない毎日を取り戻すことができます。
🍀まとめ
- 飲酒は一時的な血流拡張のあと、骨盤内のうっ血を悪化させる
- アルコールは前立腺を刺激し、排尿異常や痛みを助長する
- 睡眠の質を下げ、自律神経の乱れにつながる
- 「飲んでも大丈夫な量」を知ることが、自分の体調管理につながる
- 症状があるときは、無理せず体を整えることが最優先
たまの一杯よりも、明日の体の軽さを。
あなたの体調を理解しながら、上手にお酒と付き合っていきましょう。
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