「一度で治ると思っていたのに、まだ痛みが残る…」
「何回くらい通えば良くなるのですか?」
慢性前立腺炎の患者さんから、最も多くいただく質問のひとつです。
確かに、肩こりやぎっくり腰のような急性の症状では、1〜2回で大きく改善することもあります。
しかし、慢性前立腺炎は“慢性”という言葉の通り、長い時間をかけて身体の奥深くに定着した状態です。
ここでは、なぜ1回の鍼治療で治らないのか、そしてなぜ5〜10回の継続が必要なのかを、わかりやすく解説します。
① 長年の「神経・筋肉・血流のクセ」が定着している
慢性前立腺炎では、前立腺や骨盤底筋(骨盤の底にある筋肉群)が過度に緊張しています。
その状態が長く続くと、
- 神経の興奮が“痛みの記憶”として脳に刻まれる
- 筋肉が常に硬くなり、弛緩しにくくなる
- 血流が悪くなり、前立腺周囲が酸素不足になる
このように、身体の奥に**「痛みを出し続ける回路」**ができてしまうのです。
鍼治療は、その回路を少しずつリセットし、神経の興奮を鎮めていく働きを持ちます。
ですが、何年もかけて固まった状態を1回で完全に戻すことはできません。
数回の治療を通して、神経と筋肉に“正しいリズム”を思い出させることが必要です。
② 自律神経の乱れは「積み重ね」でしか整わない
慢性前立腺炎の多くは、実はストレスや自律神経の乱れが大きく関わっています。
鍼灸治療では、副交感神経(リラックスの神経)を高め、体の緊張をゆるめていきます。
ただし、自律神経は「スイッチ」のように一瞬で切り替わるものではなく、
少しずつバランスを整えていく“積み重ね型”のシステムです。
最初の数回で眠りやすくなったり、体が温まりやすくなる方もいます。
しかし、根本的に体質を変えるには、5回〜10回程度の継続が必要です。
③ 骨盤内の血流改善には「再構築の期間」が必要
慢性前立腺炎の痛みの背景には、骨盤内の血流やリンパの滞りがあります。
特に長時間のデスクワークや運転、冷えによって骨盤が硬くなると、
前立腺周辺の循環が悪くなり、炎症が慢性化します。
鍼灸治療では、骨盤内の筋肉をゆるめて血流を促しますが、
血管やリンパの流れが安定して再構築されるには時間がかかります。
数回の治療で体の温まり方や排尿感覚が変化してくる方も多く、
続けることで「痛みが出にくい体」に変わっていきます。
④ 改善スピードには“個人差”がある
同じ「慢性前立腺炎」といっても、原因は人それぞれです。
細菌感染によるタイプもあれば、ストレスや姿勢の問題、自律神経の乱れが中心のタイプもあります。
また、生活習慣や睡眠の質、食事、職業(長時間座位・運転など)によっても改善速度は異なります。
鍼灸治療は「体のリズムを整える」治療です。
そのため、5回で改善する方もいれば、10回以上かけてゆっくりと変わっていく方もいます。
重要なのは、「痛みのない日常を取り戻す」ことを目標に、焦らず段階的に進めることです。
⑤ 鍼灸は「痛みを抑える」のではなく「体質を整える」治療
薬のように一時的に炎症や痛みを抑えるのではなく、
鍼灸は体そのものの治癒力を高める治療法です。
- 血流を良くし、酸素と栄養を届ける
- 神経の興奮を鎮め、痛みを感じにくくする
- 自律神経を整え、再発しにくい体をつくる
つまり、「症状を抑える」ではなく「体を変える」アプローチです。
だからこそ、5〜10回の治療を通して“再発しにくい身体”を作ることが本当のゴールなのです。
🔸まとめ:継続治療は「根本改善」のためのプロセス
| 理由 | 内容 | 改善の目安 |
|---|---|---|
| 神経・筋肉の過敏化 | 慢性痛のリセット | 3〜5回 |
| 自律神経の安定化 | ストレス体質の修正 | 5〜10回 |
| 血流の再構築 | 骨盤内の循環改善 | 5〜10回 |
| 個人差 | 生活習慣・体質による | 継続調整 |
慢性前立腺炎は、決して「一度で治る病気」ではありません。
しかし、身体は必ず変化します。
正しい方向に時間をかけて整えていくことで、
「痛みに振り回されない生活」を取り戻すことができます。
🌿にしむら鍼灸治療院では
当院では、慢性前立腺炎の鍼灸治療を骨盤・自律神経・体質改善の3つの視点から行っています。
一人ひとりの症状に合わせ、初回から5〜10回の流れを明確に説明しながら進めます。
「痛みと共存する生活を変えたい」
「薬以外の方法で根本的に改善したい」
そう感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
身体が変わる“きっかけ”を、鍼灸でつくることができます。
Chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome (CP/CPPS)(慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群)












