大阪狭山市 にしむら鍼灸治療院 慢性前立腺炎などの「慢性骨盤痛症候群」専門鍼灸院
「慢性前立腺炎に鍼治療は効果がある?」
そして、もう一つ患者さんからよく聞かれるのが、
「鍼治療は何回くらい受ければいいんですか?」
という質問です。
実は、1992年に日本で行われた研究で、慢性前立腺炎の患者100例に鍼通電療法を行い、治療回数についても報告されています。
今回は、この研究をもとに、慢性前立腺炎に対する鍼通電療法についてご紹介します。
1992年に慢性前立腺炎100例を対象に研究
今回紹介するのは、
「慢性前立腺炎に対する鍼通電療法」
という研究です。
片井秀一・北川龍一氏らによって1992年に『順天堂医学』に発表されました。
対象となったのは、慢性前立腺炎患者100例。
非細菌性前立腺炎やProstatodynia(前立腺痛)などが含まれていました。
現在のCP/CPPSと完全に同じ診断基準ではありませんが、慢性的な骨盤部の痛みや不快感を考えるうえで、非常に興味深い研究です。
鍼治療は何回行われたの?
この研究で特に注目したいのが、治療回数です。
研究では、
平均12.4回の鍼通電療法
が行われました。
治療頻度は週1回程度とされています。
つまり、単純に計算すると、
約3か月程度の治療期間
に相当します。
ここは患者さんにとって重要なポイントです。
「1回鍼を受ければ慢性前立腺炎が治る」という研究ではありません。
ある程度の期間、継続して治療を受けた患者さんを対象として、その経過を評価した研究です。
では、12回受ければ治るの?
ここは誤解しないようにしてください。
「12回鍼を受ければ治る」という意味ではありません。
この研究では100例に対して鍼通電療法が行われ、平均治療回数が12.4回だったということです。
慢性前立腺炎・CP/CPPSは、症状や経過に個人差があります。
例えば、
- 会陰部の痛みが中心
- 下腹部の違和感が中心
- 長時間座ると症状が悪化する
- 排尿症状を伴う
- 鼠径部や臀部にも痛みがある
- 骨盤周囲の筋肉が緊張している
など、人によって症状の組み合わせが異なります。
そのため、「○回で必ず改善する」と一律に決めることはできません。
研究ではどのような変化があった?
この研究では、自覚症状だけではなく、前立腺の圧痛や前立腺液中の白血球数なども調べています。
前立腺の圧痛
前立腺に圧痛があった患者では、
82.1%で改善
が報告されています。
前立腺液中の白血球
前立腺液中の白血球が増加していた患者では、
64.7%で改善
が報告されています。
また、自覚症状については、
85.0%で改善
とされています。
自覚症状と他覚所見を総合した評価では、
79.3%が有効
と報告されています。
ただし、これらは1992年の研究で得られた結果です。
現在のCP/CPPSの診断基準や評価方法とは異なるため、これらの数字をそのまま現在の患者さんに当てはめることはできません。
なぜ「何回で治る」と言えないのか?
慢性前立腺炎・CP/CPPSは、単純な感染症とは異なるケースがあります。
痛みが長期間続く場合、
前立腺だけではなく、骨盤周囲の筋肉、神経、痛みの感じ方、ストレスなど、複数の要因が関係している可能性があります。
そのため、同じ「慢性前立腺炎」という診断でも、
「1回目から変化を感じる人」
もいれば、
「数回受けてから少しずつ変化する人」
もいます。
逆に、何回治療しても症状が変わらない場合には、治療方法そのものを見直す必要があります。
これは非常に大切なことです。
鍼治療では「回数」より「変化」を見る
当院でも、慢性的な症状に対して、
「とりあえず10回受けてください」
という考え方はしていません。
大切なのは、
治療を続けることで症状に変化が出ているか
を見ることです。
例えば、
- 痛みが少し軽くなった
- 座っていられる時間が伸びた
- 会陰部の違和感が減った
- 下腹部の重さが軽くなった
- 症状が悪化する頻度が減った
などです。
こうした小さな変化を確認しながら、その後の治療方針を考えていきます。
まとめ|研究では平均12.4回の鍼通電療法
1992年に発表された研究では、慢性前立腺炎などの患者100例を対象に鍼通電療法が検討されました。
治療は週1回程度で、平均12.4回行われています。
研究では、
- 前立腺の圧痛:82.1%で改善
- 前立腺液中の白血球:64.7%で改善
- 自覚症状:85.0%で改善
- 総合評価:79.3%が有効
と報告されました。
ただし、この研究から、
「12回鍼を受ければ慢性前立腺炎が治る」
とは言えません。
あくまで、1992年に行われた臨床研究の結果です。
慢性前立腺炎・CP/CPPSは症状の出方や経過に個人差があるため、治療回数も一人ひとり異なります。
大切なのは、決められた回数をこなすことではなく、治療によって実際に症状が変化しているかを確認しながら進めることです。
参考文献
片井秀一・北川龍一
「慢性前立腺炎に対する鍼通電療法」
『順天堂医学』38巻2号、210–219、1992年。
DOI:10.14789/pjmj.38.210
※本記事は研究論文の内容を紹介するものであり、鍼治療による効果を保証するものではありません。発熱、血尿、強い排尿困難などがある場合は、まず泌尿器科を受診してください。

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