「肛門の奥がズーンと痛む」
「座っていると肛門の周辺が痛くなる」
「排便とは関係ないのに、肛門の奥に違和感や圧迫感がある」
このような症状で悩んでいませんか?
肛門に痛みがあると、まず痔や肛門の病気を疑う方が多いと思います。
しかし、肛門科で検査を受けても明らかな異常が見つからず、それでも痛みが続いている場合があります。
その原因のひとつとして知られているのが、肛門挙筋症候群(こうもんきょきんしょうこうぐん)です。
今回は、肛門挙筋症候群とはどのような状態なのか、骨盤底筋群との関係、慢性前立腺炎や陰部神経痛との関連について解説します。
1.肛門挙筋症候群とは?
肛門挙筋症候群とは、肛門や直腸周辺に慢性的な痛みが生じる機能性の直腸肛門痛のひとつです。
肛門挙筋は、骨盤の底に位置し、直腸や肛門を支える筋肉の総称です。
主に次の筋肉で構成されています。
・恥骨直腸筋
・恥骨尾骨筋
・腸骨尾骨筋
これらの筋肉は、骨盤底を支え、排便や排尿、骨盤内臓器の支持などに関係しています。
この周辺の筋肉に過剰な緊張や収縮の異常が生じることが、肛門周辺の痛みと関係していると考えられています。
ただし、発症の詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。
2.肛門挙筋症候群にはどんな症状がある?
代表的な症状には、次のようなものがあります。
・肛門の奥がズーンと痛む
・肛門周辺に鈍い痛みが続く
・直腸に圧迫感や締め付けられる感覚がある
・長時間座っていると痛みが強くなる
・会陰部や骨盤周辺にも違和感が広がる
・排便とは関係なく痛みが生じる
特徴のひとつは、痛みが30分以上続くことです。
国際的な診断基準であるRome IVでは、慢性的または反復する直腸痛が30分以上続き、恥骨直腸筋を牽引した際に圧痛が認められることなどが診断条件に含まれています。
なお、肛門挙筋症候群と似た症状でも、筋肉の圧痛が認められない場合は、別の機能性直腸肛門痛として分類されます。
3.なぜ肛門の奥が痛くなるのか?
ここで注目したいのが骨盤底筋群です。
骨盤底筋群は、骨盤の底でハンモックのように広がり、膀胱や直腸などを支えています。
この筋肉群は、排尿・排便の際には適切に収縮と弛緩を切り替える必要があります。
ところが、筋肉の緊張が強くなったり、必要なときに十分に緩められなくなったりすると、骨盤底の機能に影響することがあります。
考えられる関連要因には、
・長時間のデスクワーク
・長時間の運転
・骨盤周辺の筋肉の過剰な緊張
・排便時の過度ないきみ
・ストレスや身体の緊張
などがあります。
大切なのは、肛門だけを見るのではなく、骨盤底筋群を含めた周辺組織の状態にも目を向けることです。
4.慢性前立腺炎・陰部神経痛との関係
実は、肛門挙筋症候群と慢性前立腺炎(CP/CPPS)、陰部神経痛には、症状が重なる部分があります。
例えば、
・肛門の奥が痛い
・会陰部に違和感がある
・陰茎や尿道周辺に不快感がある
・長時間座っていられない
・下腹部や骨盤周辺に痛みがある
こうした症状は、それぞれの疾患でみられることがあります。
特に慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)では、前立腺だけでなく、骨盤底筋群や神経系など、複数の要因が症状に関係している場合があります。
また、陰部神経は会陰部や肛門周辺の感覚に関係する神経です。
そのため、骨盤底筋群の緊張や神経の過敏性などが関係し、肛門周辺に痛みや違和感が生じるケースも考えられます。
ただし、肛門挙筋症候群、慢性前立腺炎、陰部神経痛は同じ病気ではありません。
症状が似ていても、それぞれ適切な評価が必要です。
5.肛門挙筋症候群にはどんな治療がある?
一般的には、症状や身体の状態に応じて次のような方法が検討されます。
・骨盤底筋の理学療法
・温浴や坐浴
・生活習慣や排便習慣、いきみ方の見直し
・必要に応じた薬物療法
なお、肛門の痛みには痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、炎症性疾患など、別の病気が隠れている場合もあります。
出血、発熱、腫れ、急激に強くなる痛みなどがある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
6.肛門周辺の痛みに対する鍼治療という選択肢
肛門周辺の痛みが長期間続いている場合、痛みのある場所だけでなく、骨盤周辺の筋肉や神経の状態を含めて身体を評価することも大切です。
当院では、慢性前立腺炎や陰部神経痛、慢性的な骨盤周辺の痛みに対して、筋肉や神経の状態を考慮した鍼施術を行っています。
症状や身体の状態に応じて、臀部や仙骨周辺、骨盤周辺の筋肉などを施術部位として検討します。
肛門や陰部に直接鍼をするのではなく、周辺の筋肉や組織の状態を考慮した施術を行います。
ただし、鍼施術による肛門挙筋症候群への効果は、現時点で十分に確立されているわけではありません。
そのため、すべての方に同じ施術が適しているわけではなく、症状や経過を確認しながら慎重に対応することが大切だと考えています。
7.肛門の痛みを我慢し続けていませんか?
肛門の痛みは、人に相談しにくい症状のひとつです。
病院で検査を受けても原因がはっきりせず、薬を使っても違和感が残っている。
そんな状態が続くと、座ることや車の運転、仕事にまで影響してしまいます。
肛門の痛みだからといって、必ずしも肛門だけに原因があるとは限りません。
骨盤底筋群、臀部の筋肉、神経など、周辺の組織にも目を向けることが大切です。
大阪狭山市のにしむら鍼灸治療院では、慢性前立腺炎・陰部神経痛・慢性的な骨盤周辺の痛みに対して、筋肉や神経の状態を考慮した鍼施術を行っています。
長引く肛門周辺の痛みや骨盤の違和感でお困りの方は、一度ご相談ください。
にしむら鍼灸治療院
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